ネームサーバーが一致しない・2社が混ざっているとき|委任を確かめる4ステップ

- ネームサーバーの一覧は2か所にあります。1つは上位のゾーンにある委任、もう1つはドメイン自身のサーバーが返すものです。片方だけ書き換わることがあり、それが「管理画面の値とコマンドの値が違う」の正体です
- 何も申請していないのに2つが食い違っているなら、どちらかの側に手を入れないと揃いません
- 意図して2社を併用しているなら、直す必要はありません。ただし両方が同じ内容を返している必要があります
dig が入っていないWindowsでも、コマンドプロンプトで手順を実行できます。
診断の表示から、読む場所を決めてください
本サイトの診断 (以下、「診断」という) の結果に「DNSの設定は ○○ 側で行います」と出た方は、サブドメインを診断したときへ進んでください。ほかの見え方は、すべてステップ 1/4 から始めます。
出てくる用語
自分のドメインでサイトかメールを運用していて、ネームサーバーを変えた(あるいは変えたつもりの)人に向けて書いています。コマンドは、macOSかLinuxのターミナルかWindowsのコマンドプロンプトで実行します。
| 語 | この記事での意味 |
|---|---|
| 上位のゾーン | 自分のドメインの委任が返ってくる、1つ上の範囲。親ゾーンとも呼ばれます |
| ゾーンの頂点 | ドメイン名そのもの。example.com の部分を指します |
| 委任 | 上位のゾーンに、自分のドメインを頂点とするNSレコードの組が置かれること |
| 権威サーバー | そのドメインのレコードを実際に持っているサーバー。委任で名前を挙げられた側です |
| 権威の応答 | 権威サーバーが担当として返した答え。dig では flags: に aa、Windowsの nslookup -debug では header flags: に auth. answer が出ます |
| リゾルバ | 名前を引くときに問い合わせ先を順にたどるしくみ。ふだんはプロバイダや社内のものを通っています |
| 集合 | 順番を無視して、名前が何と何かだけを見たもの。並びが違っても中身が同じなら同じ集合です |
| TTL | そのレコードをキャッシュしてよい時間。秒で書かれています |
| ドメインの管理画面 | ドメインの契約を管理している画面。レジストラとも呼ばれます。ネームサーバーの指定はここで行います |
| DNSの管理画面 | 実際にレコードを追加する事業者の画面。上の画面と同じ会社とは限りません |
この最後の2つが別であることが、混乱の元になります。ドメインを取った会社といま使っているレンタルサーバーの会社が違う場合、ネームサーバーの指定は前者の画面、レコードの追加は後者の画面で行います。
そのゾーンの権威サーバーは、ゾーンの頂点にあるNSレコードに列挙されています(RFC 2181 セクション6.1)。
ステップ 1/4 と 2/4 で控えたものは、あとで元に戻すときの記録になります。画面の写しでもテキストの貼り付けでも構いませんが、必ず手元に残してください。
ステップ 1/4:上位のゾーンにある委任を出して控えてください
1-1 whoisや管理画面ではなく上位のゾーンへ直接聞きます
この記事は、whoisの検索結果もドメインの管理画面の表示も、いま何が配られているかの判定には使いません。上位のゾーンのサーバーへ直接聞きます。上位のゾーンのサーバーが返すものが、いま配られている委任だからです。途中のリゾルバのキャッシュも通りません。
手元にドメインの管理画面の値がある場合は、そのまま残しておいてください。ステップ 3/4 で、コマンドで出た一覧との突き合わせに使います。使いたい事業者が案内している値も同じです。
ただし、レジストラで出した変更の申請がまだ処理されていない段階では、ここで出るのは変更前の委任です。申請の状況は、ドメインの管理画面で確認してください。
1-2 上位のゾーンのサーバーの名前を出します
com のドメインなら次のように打ちます。
macOSとLinux:
$ dig +short NS com
m.gtld-servers.net.
g.gtld-servers.net.
e.gtld-servers.net.
(中略。13 件)
Windowsのコマンドプロンプト:
> nslookup -type=NS com
権限のない回答:
サーバー: ns4.kk-ca.net
Address: 61.115.234.26
com nameserver = l.gtld-servers.net
(中略。13 件)
com nameserver = k.gtld-servers.net
g.gtld-servers.net internet address = 192.42.93.30
(以下、IP アドレスの一覧)
冒頭の「権限のない回答:」は、いま聞いた相手がその答えの権威ではないという意味です。ここでは名前を1つ選べればよいのでそのままで構いません。この行を気にするのはステップ 2/4 だけです。返ってきた名前からどれか1つを次で使います。
jp のドメインは com の部分を jp に置き換えます。example.co.jp のような形でも、置き換えるのは co.jp ではなく jp です。co.jp は別のゾーンへ委任されていないので、dig +short NS co.jp は1件も返しません。Windowsで nslookup -type=NS co.jp を打つと一覧ではなく jp のSOAレコードが返ります。どちらも2026年9月1日に確認しました。
どこで分かれているか分からない場合は、上位のゾーンの名前が分からないときのやり方でルートサーバーからたどってください。
1-3 そのサーバーへ委任の一覧とTTLを聞きます
sitekensa.com の部分は自分のドメインに置き換えます。a.gtld-servers.net の部分は1-2で選んだ名前に置き換えます。
macOSとLinux:
$ dig +norecurse +noall +authority NS sitekensa.com @a.gtld-servers.net
sitekensa.com. 172800 IN NS ns-248.awsdns-31.com.
sitekensa.com. 172800 IN NS ns-971.awsdns-57.net.
sitekensa.com. 172800 IN NS ns-1085.awsdns-07.org.
sitekensa.com. 172800 IN NS ns-1749.awsdns-26.co.uk.
Windowsのコマンドプロンプト:
> nslookup -debug -norecurse -type=NS sitekensa.com a.gtld-servers.net
------------
Got answer:
HEADER:
opcode = QUERY, id = 2, rcode = NOERROR
header flags: response
questions = 1, answers = 0, authority records = 4, additional = 2
QUESTIONS:
sitekensa.com, type = NS, class = IN
AUTHORITY RECORDS:
-> sitekensa.com
nameserver = ns-248.awsdns-31.com
ttl = 172800 (2 days)
(以下 3 件)
ADDITIONAL RECORDS:
-> ns-248.awsdns-31.com
internet address = 205.251.192.248
ttl = 172800 (2 days)
------------
この形でネームサーバーの名前が並べば、次へ進めます。この例では4件返っています。件数はドメインによって違います。2件でも問題ありません。
控えるものは2つです。1つはネームサーバーの名前の一覧、もう1つはその左または ttl = に出ている秒数です。dig では左から2列目の 172800、nslookup では ttl = 172800 (2 days) がそれにあたります。この秒数はステップ 4/4 で使います。
Windows側で -debug を付けているのはTTLを出すためです。-debug を外すと一覧は出ますが、TTLは出ません。
-debug を付けると ------------ で区切られた塊が2つ以上出ることがあります。聞いた相手の名前を逆に引く問い合わせが先に出るためです。読むのは QUESTIONS: の行に自分のドメイン名と type = NS が並んでいる塊です。
一覧はANSWERではなくAUTHORITYに入ります。上位のゾーンのサーバーは委任を返しているだけで、そのゾーンの担当ではないためです。
1-4 一覧が返らなかったとき
返り方によって意味が違います。次の3つを見分けてください。
存在しない名前だった場合:
$ dig +norecurse +noall +comments +authority NS this-domain-does-not-exist-sitekensa-test.jp @a.dns.jp
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NXDOMAIN, id: 20734
;; flags: qr aa; QUERY: 1, ANSWER: 0, AUTHORITY: 1, ADDITIONAL: 1
> nslookup -norecurse -type=NS this-domain-does-not-exist-sitekensa-test.jp a.dns.jp
*** UnKnown が this-domain-does-not-exist-sitekensa-test.jp を見つけられません: Non-existent domain
サーバー: UnKnown
Address: 203.119.1.1
status: NXDOMAIN または Non-existent domain は、その名前が上位のゾーンに存在しないという答えです。たとえば次のようなことが考えられます。ドメインの有効期限が切れている。登録の手続きが終わっていない。名前の綴りが違う。DNS側をいくら触っても変わりません。ドメインの管理画面を開き、契約の状態を先に確認してください。ここが解決するまでステップ 2/4 へは進めません。
名前はあるがNSレコードが無い場合:
$ dig +norecurse +noall +comments +authority NS www.sitekensa.com @ns-248.awsdns-31.com
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 38679
;; flags: qr aa; QUERY: 1, ANSWER: 0, AUTHORITY: 1, ADDITIONAL: 1
;; OPT PSEUDOSECTION:
; EDNS: version: 0, flags:; udp: 4096
;; AUTHORITY SECTION:
sitekensa.com. 900 IN SOA ns-1085.awsdns-07.org. awsdns-hostmaster.amazon.com. 1 7200 900 1209600 86400
> nslookup -norecurse -type=NS www.sitekensa.com ns-248.awsdns-31.com
サーバー: UnKnown
Address: 205.251.192.248
sitekensa.com
primary name server = ns-1085.awsdns-07.org
responsible mail addr = awsdns-hostmaster.amazon.com
serial = 1
refresh = 7200 (2 hours)
retry = 900 (15 mins)
expire = 1209600 (14 days)
default TTL = 86400 (1 day)
エラーの行が出ず、status: NOERROR でSOAレコードの各項目が返っています。その名前は存在するが、NSレコードは持っていないという答えです。委任されていないサブドメインを調べたときにこの形になります。心当たりがあるなら、サブドメインを診断したときを読んでください。
答えが返らなかった場合:
$ dig +norecurse +noall +comments +authority NS sitekensa.com @192.0.2.1 +time=2 +tries=1
;; connection timed out; no servers could be reached
> nslookup -norecurse -type=NS sitekensa.com 192.0.2.1
*** UnKnown への要求がタイムアウトしました
DNS request timed out.
timeout was 2 seconds.
サーバー: UnKnown
Address: 192.0.2.1
DNS request timed out.
timeout was 2 seconds.
DNS request timed out.
timeout was 2 seconds.
聞いた相手が答えを出せなかった場合は、Windowsでは Server failed の語が出ます。2026年9月1日にWindows Server 2022(ja-JP)で確認しました。dig では status: SERVFAIL にあたります。
タイムアウトや Server failed は、その名前が存在しないという意味ではありません。聞いた相手から答えが得られなかっただけです。1-2 で出た別のサーバーの名前に替えて打ち直してください。どのサーバーでも同じなら、時間をおいて引き直します。この状態のまま先へ進むと実際には設定されているものを「設定されていない」と読み違えます。
ステップ 2/4:委任に載っているサーバーへ1台ずつ聞いて控えてください
2-1 ステップ 1/4 で出た名前すべてに聞きます
ステップ 1/4 で控えた名前を1つずつ順に聞きます。1台だけに聞くとその1台の答えしか分かりません。委任に載っているサーバーが互いに違う内容を返していることがあるので、全部に聞いてください。
macOSとLinux:
$ dig +norecurse +noall +comments +answer NS sitekensa.com @ns-248.awsdns-31.com
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 45619
;; flags: qr aa; QUERY: 1, ANSWER: 4, AUTHORITY: 0, ADDITIONAL: 1
;; OPT PSEUDOSECTION:
; EDNS: version: 0, flags:; udp: 4096
;; ANSWER SECTION:
sitekensa.com. 172800 IN NS ns-1085.awsdns-07.org.
sitekensa.com. 172800 IN NS ns-1749.awsdns-26.co.uk.
sitekensa.com. 172800 IN NS ns-248.awsdns-31.com.
sitekensa.com. 172800 IN NS ns-971.awsdns-57.net.
Windowsのコマンドプロンプト:
> nslookup -debug -norecurse -type=NS sitekensa.com ns-248.awsdns-31.com
------------
Got answer:
HEADER:
opcode = QUERY, id = 2, rcode = NOERROR
header flags: response, auth. answer
questions = 1, answers = 4, authority records = 0, additional = 0
QUESTIONS:
sitekensa.com, type = NS, class = IN
ANSWERS:
-> sitekensa.com
nameserver = ns-1085.awsdns-07.org
ttl = 172800 (2 days)
(以下 3 件)
------------
1台ごとに2つを控えます。1つは返ってきた名前の集合、もう1つは権威の応答かどうかです。権威の応答なら dig の flags: に aa が、Windowsの header flags: に auth. answer が出ます。上の2つの例はどちらも出ています。
aa も auth. answer も出ていない場合は、そのサーバーが自分のドメインの担当になっていません。名前の集合が正しく見えるときも、次の 2-2 の「答えを返さなかったサーバー」と同じ扱いにして、名前を控えておいてください。直し方はステップ 4/4 の 4-4 にあります。
Windowsでは、権威でない応答のときに画面のいちばん上に「権限のない回答:」の行が出ます。ただし、この行が出ないことだけを根拠に権威だと判断しないでください。上位のゾーンのサーバーが返す委任の応答でも、この行は出ません。-debug を付けて auth. answer を見るのが確実です。
2-2 答えが返らなかったサーバーがあったとき
> nslookup -norecurse -type=NS example.com ns-248.awsdns-31.com
*** UnKnown が example.com を見つけられません: Query refused
サーバー: UnKnown
Address: 205.251.192.248
Query refused(dig では status: REFUSED)は、聞いた相手がその問い合わせに答えることを拒んだという返事です。委任に載っている名前を指定してこれが返ったなら、そのサーバーは自分のドメインの担当になっていません。
上の例は -debug を外して打ったものです。2-1 と同じように -debug を付けたままでも構いません。*** から始まるエラーの行はデバッグの表示より前に出るので、読む場所は変わりません。
タイムアウトは別に扱ってください。応答が届かなかっただけで、拒まれたとは限りません。時間をおいて2回か3回試してください。それでも返らないときに、そのサーバーは答えを返さないものとして扱います。
Query refused が返った名前、aa も auth. answer も出なかった名前、何度試しても返らなかった名前は、控えておいてください。ステップ 4/4 で残す集合を決めるときに使います。
委任に載っている全部のサーバーがこの形だったなら、ドメイン自身の側の一覧は出せません。ステップ 3/4 の行1に当たります。
ステップ 3/4:見比べて6つのどれかに決めてください
ステップ 1/4 で控えた委任の一覧とステップ 2/4 で控えたサーバーごとの答えを並べます。上の行から順に当てはめてください。当てはまった時点で、その行です。
| 行 | 見え方 | こういう状態です | 次に読む場所 |
|---|---|---|---|
| 1 | 委任が出せなかった。または委任に載っている全部のサーバーが答えを返さなかった | 委任が無いか、まだ調べられていません | 1-4 と 2-2 |
| 2 | 権威の応答を返したサーバーどうしで、名前の集合が違った | サーバー間で内容が揃っていません | ステップ 4/4 |
| 3 | 委任の一覧とサーバーが返した集合に、共通の名前も、どちらかにだけある名前もある | 2か所の設定が食い違っています | ステップ 4/4 |
| 4 | 共通の名前が1つもない | 2か所が別々のサーバーを指しています | ステップ 4/4 |
| 5 | 集合は同じで、その中に、いま使うつもりの事業者の案内に無い名前がある | 案内に無い名前が入っています | 案内に無い名前があったとき |
| 6 | 集合が同じで、名前はすべて、いま使うつもりの事業者の案内どおり | 委任は揃っています | DNSが反映されないときへ |
名前の提供元が何社かは、いま使うつもりの事業者が案内しているネームサーバーの値と突き合わせて決めます。案内の値は、DNSの管理画面か事業者のマニュアルにあります。
ドメインの管理画面に値が出ているなら、ステップ 1/4 で出た委任とも見比べてください。この2つが違うなら、管理画面で出した変更がまだ処理されていない可能性があります。1-1 の後半を読んでください。
ステップ 2/4 で答えを返さなかったサーバー、または権威の応答にならなかったサーバーが1台でもあるなら、行6に当たっていてもそのサーバーは直す対象です。ステップ 4/4 の 4-4 を読んでください。
行3と行4は、いまレジストラへ何も申請していないなら、手を入れるまで揃いません。上位のゾーンの側とドメイン自身の側は別々に設定されているためです。申請を出した直後なら、処理が終わるまで待ってから 1-3 をもう一度実行してください。
案内に無い名前があったとき
行5に当たったなら、まず一覧の中身を2つに分けてください。
一覧の名前が全部、使いたい事業者の案内に無いものだった場合。委任がまだ切り替わっていません。ドメインを取ったときの初期設定のまま、というのがよくある形です。ドメインの管理画面でネームサーバーの変更をすでに出しているなら、処理が終わるまで待ってから 1-3 をもう一度実行してください。まだ出していないなら、ステップ 4/4 へ進み、案内の値へ置き換えてください。
案内どおりの名前と案内に無い名前の両方があった場合。案内に無い名前が混ざっています。次のどちらかに心当たりがあるなら、そのままにできます。
- 複数のDNS事業者をあえて併用して、片方が止まっても名前を引けるようにしている
- DNS事業者を移している最中で、切り替えのあいだ両方を登録している
ただし、どちらの場合も条件があります。両方の事業者のサーバーが、同じ内容を返している必要があります。ステップ 2/4 で行6と同じ形(全部のサーバーが権威の応答で、同じ集合を返す)になっていることを確かめてください。行2になっているなら、併用も移行も成立していません。さらに、レコードを追加するときは両方の画面へ同じものを入れることになります。
移行の途中なら、切り替えが済んだ時点で使わないほうを外します。
どちらにも心当たりが無いなら、レコードを追加した画面によって、届く問い合わせがあったりなかったりします。片方の事業者にしか入っていないレコードは、問い合わせがそちらのサーバーへ届いたときだけ返ります。ステップ 4/4 へ進んでください。
ステップ 4/4:残す集合を決めて委任を置き換えてください
4-1 待つあいだに何が起きるか
委任を書き換えても他の人が使っているDNSリゾルバは、古い委任をしばらく覚えています。キャッシュに残る長さの上限が、ステップ 1/4 で控えたTTLです。
The TTL specifies a maximum time to live, not a mandatory time to live.
キャッシュ側の仕組みは DNSが反映されないときで扱っています。
控えたTTLが示すのはキャッシュに古い委任が残る長さだけです。レジストラでの変更の手続きが終わっていなければ、そもそも委任が変わりません。切り替わったかどうかは、待つのではなく 1-3 をもう一度実行して確かめてください。
4-2 どちらを残すか決めてください
残すのはいま使いたいレコードが実際に入っているほうです。確かめ方は、それぞれの事業者のネームサーバーへ直接、必要なレコードを聞くことです。ステップ 2/4 と同じ形で種類を替えるだけです。
$ dig +norecurse +noall +comments +answer A example.com @<候補のネームサーバー>
$ dig +norecurse +noall +comments +answer MX example.com @<候補のネームサーバー>
$ dig +norecurse +noall +comments +answer TXT example.com @<候補のネームサーバー>
Windowsでは -type= の値を替えます。
> nslookup -norecurse -type=A example.com <候補のネームサーバー>
> nslookup -norecurse -type=MX example.com <候補のネームサーバー>
> nslookup -norecurse -type=TXT example.com <候補のネームサーバー>
ステップ 2/4 で Query refused が返ったサーバー、権威の応答にならなかったサーバー、何度試しても返らなかったサーバーは、残す集合から外します。
残す側に設定するネームサーバーの値は、その事業者が案内しているものを使ってください。診断はこの値を生成しません。事業者ごとの画面の場所は設定ガイドにまとめてあります。
4-3 外す前に確かめる3つ
外した側にしか無いレコードは、外した時点で引けなくなります。次を先に確かめてください。
- 残す側の全部のサーバーが、権威の応答で同じ内容を返すこと。ステップ 2/4 の形で1台ずつ聞きます
- 残す側に、必要なレコードが入っていること。まだ入れていないなら、外す前に入れます
- DNSSECを使っているなら、DSレコードの扱いを先に決めること
2つ目の確かめ方から書きます。確実なのは外す側の管理画面でゾーンの内容を書き出し、残す側の内容と1行ずつ見比べることです。書き出せないなら、外す側の画面に並んでいるレコードを1件ずつ、4-2 の形で残す側へ問い合わせます。A と MX と TXT だけを見ると、CNAME、CAA、SRV、TLSA、DKIMのセレクタ、ワイルドカード、委任しているサブドメインが漏れます。
Windowsの nslookup には、種類として受け付けてもらえないものがあります。2026年9月1日にWindows Server 2022(ja-JP)で確かめた結果です。
| 指定できた種類 | 指定できなかった種類 |
|---|---|
A AAAA MX TXT NS SOA CNAME SRV |
DS CAA TLSA |
指定できなかった種類は unknown query type: CAA のような行が出て、代わりに既定のAレコードとAAAAレコードを引いた結果が返ります。一覧の部分だけを読むとそのレコードがあるように見えてしまいます。この3種類は、外す側の管理画面の一覧で確かめるか、事業者へ問い合わせてください。
残す側と外す側の両方の事業者に、DSレコードをどう扱うかを確認してください。
DSレコードがあるかどうかは、上位のゾーンのサーバーへ聞けば分かります。
$ dig +norecurse +noall +answer +authority DS jprs.co.jp @a.dns.jp
jprs.co.jp. 7200 IN DS 63574 8 2 5D5518EC26E3D8EED9411BA2373A0B9DB7014A54CF5440BC0AA0468A F943973B
DSが無いドメインでは、次のようにSOAだけが返ります。
$ dig +norecurse +noall +comments +answer +authority DS sitekensa.com @a.gtld-servers.net
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 41169
;; flags: qr aa; QUERY: 1, ANSWER: 0, AUTHORITY: 1, ADDITIONAL: 1
;; OPT PSEUDOSECTION:
; EDNS: version: 0, flags:; udp: 4096
;; AUTHORITY SECTION:
com. 900 IN SOA a.gtld-servers.net. nstld.verisign-grs.com. 1788247850 1800 900 604800 900
Windowsの nslookup ではこの確認ができませんでした。2026年9月1日にWindows Server 2022(ja-JP)で確かめたところ、-type=DS は種類として解釈されず、unknown query type: DS を表示したうえで既定のAレコードを引いた結果を返しました。表示だけ見るとDSがあるように読めてしまいます。Windowsだけで作業しているなら、ドメインの管理画面のDNSSECの設定欄を見るか、事業者へ問い合わせてください。
4-4 手を入れる場所
直す場所は、どちらの側を変えるかで決まります。
| 変えるもの | 開く画面 |
|---|---|
| 上位のゾーンにある委任 | ドメインの管理画面のネームサーバー設定。自分のドメインがサブドメインとして委任されているなら、上位のゾーンのDNSの管理画面 |
| ドメイン自身のサーバーが返す集合 | DNSの管理画面の、ゾーンの頂点のNSレコード |
上位のゾーンにある委任を変えるなら、残すほうの事業者が案内している値に置き換えます。1台だけを外すこともあります。集合をまるごと入れ替えることもあります。ドメイン自身の側は、事業者が割り当てた値に従う形になっていて編集できないことがあります。編集できない場合は、その事業者の窓口へ問い合わせてください。
行2(サーバーどうしで集合が違う)に当たったなら、直すのはDNSの管理画面の側です。同じゾーンを持つはずのサーバーが違う内容を返しているので、その事業者へ問い合わせてください。
ステップ 2/4 で答えを返さなかったサーバー、または権威の応答にならなかったサーバーがあった場合の直し方は2つです。委任からその名前を外すか、その事業者にそのゾーンを持たせるかです。どちらにするかは、その事業者へ問い合わせて決めてください。名前を外す場合は、残る名前が1つ以上あることを先に確かめます。
変更したら、ステップ 1/4 と 2/4 をもう一度実行して、行6の形になったことを確かめます。他の人からどう見えるかは、4-1 のぶん遅れます。
元に戻すとき
戻す判断は、変更のあとにサイトかメールが止まったときです。名前が引けなくなったり、メールが届かなくなったりします。キャッシュの残り時間は人によって違うので、しばらく経ってから出ることがあります。
戻すのはステップ 1/4 と 2/4 で控えた一覧です。変更前の名前をそのまま書き戻してください。ネームサーバーと同時にレコードも変えていたなら、変えた単位で戻すかどうかを決めます。ネームサーバーだけを戻して直らないなら、レコードの側の変更も見てください。
戻せなくなることがあります。外した側の契約を解約した場合、ゾーンを削除した場合などです。解約と削除は、行6の形になり、必要なレコードが残す側で全部引けることを確かめたあとにしてください。
戻したあと、他の人から見えるようになるまでにかかる時間は、そのときのキャッシュの残り方によって変わります。
上位のゾーンの名前が分からないとき
ルートサーバーから順にたどります。左の列に自分のドメイン名が出るまで繰り返すだけです。
1手目:
$ dig +norecurse +noall +authority NS jprs.co.jp @a.root-servers.net
jp. 172800 IN NS e.dns.jp.
jp. 172800 IN NS g.dns.jp.
jp. 172800 IN NS c.dns.jp.
jp. 172800 IN NS a.dns.jp.
jp. 172800 IN NS h.dns.jp.
jp. 172800 IN NS d.dns.jp.
jp. 172800 IN NS f.dns.jp.
jp. 172800 IN NS b.dns.jp.
左の列が jp. なので、まだ自分のドメインではありません。右の名前を1つ選んで、同じ形で打ち直します。
2手目:
$ dig +norecurse +noall +authority NS jprs.co.jp @a.dns.jp
jprs.co.jp. 86400 IN NS ns1.jprs.co.jp.
jprs.co.jp. 86400 IN NS ns2.jprs.co.jp.
jprs.co.jp. 86400 IN NS ns3.jprs.co.jp.
jprs.co.jp. 86400 IN NS ns4.jprs.co.jp.
左の列が jprs.co.jp. になりました。ここが上位のゾーンから見た委任です。1-3 で控えるものは、この一覧とTTLです。
Windowsでも同じことができます。a.root-servers.net から始めて、左の列が自分のドメイン名になるまで繰り返します。
1手目:
> nslookup -norecurse -type=NS jprs.co.jp a.root-servers.net
in-addr.arpa nameserver = f.in-addr-servers.arpa
(中略。逆引きの過程で出るもので、聞いた答えではありません)
サーバー: UnKnown
Address: 198.41.0.4
jp nameserver = e.dns.jp
jp nameserver = g.dns.jp
(中略。8 件)
jp nameserver = b.dns.jp
e.dns.jp internet address = 192.50.43.53
(以下、IP アドレスの一覧)
2手目:
> nslookup -norecurse -type=NS jprs.co.jp a.dns.jp
サーバー: UnKnown
Address: 203.119.1.1
jprs.co.jp nameserver = ns1.jprs.co.jp
jprs.co.jp nameserver = ns2.jprs.co.jp
jprs.co.jp nameserver = ns3.jprs.co.jp
jprs.co.jp nameserver = ns4.jprs.co.jp
ns1.jprs.co.jp internet address = 202.11.16.49
(以下、IP アドレスの一覧)
ルートサーバーへ聞いた1手目では先頭に in-addr.arpa の一覧が出ることがあります。これは指定したサーバー名を解決する過程で出るものです。聞いた答えではありません。読むのは サーバー: の行から下です。サーバー: UnKnown と出るのも異常ではありません。聞いた相手の名前を逆に引けなかったときに出る表示です。答えそのものは返っています。
サブドメインを診断したとき
mail.example.com のような、自分のネームサーバーを持たないサブドメインを診断すると「DNSの設定は ○○ 側で行います」と出ます。正常な状態です。委任されていないサブドメインは、自分のNSレコードを持ちません。レコードの追加や変更は、そのサブドメインを含むゾーンのDNSの管理画面で行います。
1-4 節で「名前はあるがNSレコードが無い」という答えが返った場合も、この状態にあたります。
この記事の手順で分からないこと
この診断が出す「ネームサーバーが複数の事業者にまたがっています」は、判別できる事業者の名前が2社以上当たったときに出ます。上位のゾーンの側とドメイン自身の側を比べた結果ではありません。名前から事業者を判別できないネームサーバーが混ざっている場合は、この表示になりません。表示が出ていないことは、混ざっていないことの証明にはなりません。ステップ 3/4 の判定表で、事業者の案内と突き合わせてください。
この手順で見るのはNSレコードだけです。グルーレコードの内容、ゾーンの全レコードが揃っているか、DNSSECの署名が正しいかは、この範囲の外です。
まとめ
委任が揃ったら、ドメインの診断でSPFやMXなどの設定も確認できます。
まずは全体を診断してみましょう
専門知識がなくてもいまの設定状況と具体的な対処方法をわかりやすく確認できます。
ドメイン設定を診断する利用中のDNS事業者が分かっているなら事業者別の設定手順から直接進めます。